すべからくマットな質感のヘアーを携え、マッドなマジシャン山下兄弟の全国ツアー始まる。初日の今日はあいにくの雨。加えて折しもパラレルワールド上では、天より下りしアメンホテプ四世の腹肉タプタプ天国orDIe地獄ツアーが開催され、両者第七感にて激しい競争心を滾らせながらも、その交わり合わない火花が飛び散り合わない現実は果たして彼岸かしらん。かは知らん。そんなこんなでこの世の憂いを慮ってみても、高校時代の勉学と地雷配りバイトの二足のワラジ生活に、早々と見切りをつけられた自分を褒めてやりたいと密かな思いを強くしたツヨシだった。
ツヨシはからっきしだった。特に腕っぷしが今一からっきしだった。愛する人の背中に付着した蛹の脱皮術を真剣に学びたい思いを日増しに強め、遂にはメタモルフォーゼしたツヨシこと山下清は腕っぷしが今一だった。何より、蛹をほおばる愛する人の背中を日々見続けるにつれ、運命論者に堕してゆく自分に落ちぶれる快楽を覚えたりもしたが、オーボエ奏者の艶かしい口付きを目撃するに至り、イタコの素質を自らに見出したのだった。ただ、やはりカラシはいつまで経っても清っぷしが今一強っきしなウデシだった。