ありとあらゆる地球上の存在が死滅した後でも、キリンの霊魂だけは、そこら中をふわふわ漂っているという。
キリンに似た顔の構造を持った人間も、時としてそこら辺の草を食む事があるという。しかしそこら辺の草を食う際には、食中毒は元より、近所の散歩をしている犬の小便がかかっているかいないかを常に確かめなければいけない。
今では時代遅れ感の否めない健康法として飲尿をしている人間でなければ、小便のかかった草を食むのはできるだけ避けたい所だし、未だに飲尿法を実践しているご近所に住まわれている池田大三郎にとっても、自身のではなくどこの馬の骨ともわからぬ馬の小便の付着している臭い草を食むハメになるのは、70歳以上の老婆のみで運営されている風俗店が隣家として建てられるハメになるくらい遠慮したい所であろう。
そもそも、動く夢を見たのは久しぶりだ。最近の夢は、いつも静止画で、窓もなく殺伐としたコンクリート打ちの部屋の中央に壊れたカセットプレイヤーが置いてあるだけのつまらないものだった。しかし、今日の夢の中に現れたのは身の丈20メートルはあろうかという巨人であろうか。久方ぶりにそんなわくわくする夢を見た時のわくわくさにより右目が飛び出してなくなってしまったのではないかというほど、僕の右肩からものすごい本数の肩毛が伸び出してきた。そうなればやはり、この肩毛をどうにか自発的に伸ばすコントロール法を身につけて、肩毛を薄毛に悩む全ての大人たちに売りつけてやるのが、生粋の商売人家系に生まれついてしまったものの宿命であるはずであり、もはや寂寞感しか感じられぬそのような宿命に対する呪詛の言葉をツイッター上で呟き続けるのが、彼のお家芸とも呼ぶべきキリンの物まねであった。
しかし、そんな彼に皆が期待すればするほど、天の邪鬼な彼と来たら、いつもそのような期待感には背いて、殺人の是非を論じ続ける民間の裁判員たちの頭上20センチほどにまで垂れ下がっている金色のロープを引いてみたくてたまらない様子なのだった。
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